そもそも僕の青春にラブコメなど無かったので間違いすらしなかった

人類がこの星の上に現れてから幾年、あらゆる生物との生存競争の果てに現在の栄華を手に入れた。

その中で人類は生存圏を広げるため生殖を行い、個体数を増やす事で種としての力を確固たる物にしたが、安寧を手に入れ、生存戦略としての生殖の必要性が薄まった現代では積極的な生殖を行わず、子を残さぬまま生を終える人も現れるようになった。

遥か昔から分け与えられて脈々と繋がる血を自分の代で止めてしまう事への不安感はあれどその必要性を感じないくらいに繁栄してしまった人類が悪いのか、それとも当人と怠惰なのか。

深いようで浅い哲学とも言えない答えのない問答をしてしまう悪い癖が付いてはや数年、その中でもとりわけ長い間考えているのが恋愛の必要性について。

学生の頃からずっと考えてる。恋って?愛ってなに?

悲しい事に23年も生きていて恋人がいた期間がない。

オタクとしては珍しい事では無いものの世間一般で見ると恋愛弱者というのは意外と珍しいようで、あくまで自分の交友関係の中ではあるが、生まれて”1度も交際したことが無い”という人間は少なかった。

好きになった人がいなかった訳では無い。

中学の頃、3年間の片想いの末見事玉砕という何の変哲もないエピソードがあるがそれのみで僕の恋愛遍歴は終了している。

中卒の履歴書の方がまだ書いてある行数多いようなカスだがそれくらい恋愛に疎いともう誰かを好きになるという感覚を忘れてしまう。故に恋愛というものに対して異常に距離を感じるし憧れを抱く。

思えばラブコメが好きなのもそこから来ているのかもしれない。しかも学園モノ。完全に青春コンプレックスが生み出した悲しきモンスターだ。

だからオタク友達からたまに飛び出す元カノエピソードとか聞くと「あぁ、そういえばコイツは僕の知らない事を知ってるステージが違う人間なんだ」と勝手に格付けしてしまうし急に距離を感じる。身勝手極まりない。

だけど皆には楽しく恋愛していてもらいたい。僕の分まで。

だって恋愛って素晴らしいものだと思う。

地球上には70億、日本だけで見ても1億数千万人いる中でワンペアなんて途方もない確率で出会ってるんだから。

とはいえ綺麗事ばっかじゃないんだろうな。経験無いから想像なんて出来ないけど。でもそれが心底羨ましいよ僕には。

だから全ての恋する人々に幸あれ。

それが職場でも、学校でも、インターネットだろうと。あなたの恋が報われるように、この異常独身成人男性が祈ってます。